《担々麺話 担担麺の現状 その6》 陳建民さんの贈り物。
これはあくまで、私的な意見ですが、北京料理や上海料理といった中華料理店、 特に高級なお店では『麺』は脇役にすぎないという印象を受けます。 ラーメンや蕎麦などにみる『麺』への細かいこだわりは日本人独特のもので、 本場中国の料理人からすると『麺で勝負されてもなあ』といった感じなのかもしれません(笑)。 あるいは、本場中国でも、小ぶりの器で出されることが多いようですから、あくまでスープと同じくコース料理の一品か、 四川屋台のように急場の腹ごなしといった感覚なのかもしれません。 ※ 四川に限らず中国では朝と夜の重要な食事のあいだに、軽い食事(点心や小吃など)をちょくちょくとつまむという習慣があるそうです。 日本で有名になった『飲茶』も食事のことではなく、そういった食文化をさす言葉だそうです。 でも陳健民さんはそんな日本人の麺好きと『主食』としての麺へのこだわりを見抜いて、一杯でも満足できるようスープを入れ、日本人に愛される麺を作ったということではないでしょうか? あくまで推測なのですが、中国四川省の担担麺、台湾の担仔麺(タンツーメン)、などをヒントにうどんやそばやラーメンといった日本人の麺好きを考慮して 陳建民さんが完成させたのが『担々麺』といえるのではないでしょうか? 名前に関しては意味よりも『タンタン』という語呂のよさもあってネーミングしたのだと思っています。 陳建民さんが日本に伝えた当時は、四川山椒や四川唐辛子といった中国の調味料もなく、日本にあるものを工夫して新しい味を創ったそうです。 しかも『手打ち麺』だったので限定何十食しかつくれなかったそうです。 当店の店主・尹東福の創るものも含め、陳建民さんの弟子たちのつくる四川料理は、当地の好みにあわせどれも少しずつ違うそうです。 関西初の『担々麺専門店』でもあった、福龍の四川料理は、 うす味を好む関西人にも好まれるよう、辛みと油を抑えたマイルドですっきりした味わいが特徴です。 『基本さえしっかりしていれば』と尹はいいます。 何が基本かということは、私などには知る由もないのですが、『料理における伝統と革新』にとって、このスタンスは大切なんだと痛感します。 守るだけで工夫がなければ必ず廃れるのが料理だと思います。陳建民さん来日からわずか50年で、日本人が受け入れやすいとは思えない『四川料理』がここまで広まったのも、 このスタンスのためではないでしょうか? その昔、『四川料理』といえば建民さんのお店で働く人しか料理できなかったころ、東京から見込みのある若い弟子を料理長として(※ 尹も最初に料理長をつとめたのは20代だそうです)、 まだ『四川料理』のない地方に送り出すときに 陳建民さんはささやいたそうです。 『最初はちょっと辛みを減らすのがコツね。』 さらに詳しく知りたい方はこちらもどうぞ 『担担麺話』の目次にもどる。
担々麺リンク
香港担担麺王 香港で楽しめる担担麺の情報とそれに関わるスパイスなどを詳しく紹介したサイト。 香港だけでなく、四川省の担々麺についての特集はマニア必見の内容です。
中国の四川料理について
四川料理とは
参考サイト
台湾風 台湾風生活スタイルについて台湾通の高田さんが独自の切り口で綴る現代台湾の情報サイト。ラーメンや担担麺についての考察も非常に興味深いです。 本にもなっています。