◆まろやかな辛味
数年前の激辛ブームによるただ辛いだけの担々麺に憂い感じるところから尹の担々麺づくりははじまった。辛味が苦手な方にも四川料理は決して辛味だけの料理でないということを分かってもらいたいという思いが、辛さの中にまろやかな甘みと旨みが存在する尹東福の担々麺を生み出している。
◆奇跡のスープ
「料理はバランスだ」と言い切る尹が3年の歳月をかけて完成させたオリジナル担々麺。その成果は、食べ進むほどに味が変わり、最後まで食べ飽きないという奇跡のスープにあらわれている。その秘密は、酸味にあるらしいのだが、柑橘系のタレということしか教えられないそうだ。
◆甘み
ラーメンにナッツ?と思うのだが、仕上げに入れるカシューナッツとミンチがこのラーメンに歯ごたえと甘みと香りのアクセントを与えている。生の豆を仕入れて、鍋で揚げた自家製ナッツはそのまま食べても大変おいしい。新鮮な食感の妙をお楽しみください。
◆ゴマの健康
軽く炒ったゴマを何時間もかけて擂り、ゴマ100%の自家製ペーストをつくるところからこのラーメンづくりはスタートする。ゴマの香りとコクがたっぷり入ったスープは最後まで飲んでももたれない。常連さんの中には「ここの担々麺を食べると翌日体の調子がいい」という方もおられる。確かに疲れているときでも不思議と完食してしまうのは、ゴマの力だろうか。
◆ラー油
このラーメンの赤はラー油の赤である。普通は使い古した油を使ってラー油を作るそうだが、尹は新鮮な一番油で自家製ラー油を作っている。唐辛子の赤がしみ出したラー油は目にも鮮やかな赤色です。
◆麺
卵の優しい甘さを感じさせるやや太めの縮れ麺を使用している。柔らかめでもっちりした歯ごたえの麺が、自慢のスープをからめとってくれる。粉の配合も独自の特注麺。
◆酸味
「料理はバランスだ。辛味、甘み、酸味といった調味料の味だけでなく、各々の素材の持つ味を引き出しあうことが大切だ。」と尹はいう。
その中でも一番扱いが難しく技を感じさせるのは、酸味ではないだろうか。尹の料理を食べているといつもそう感じる。コクがあるのに後口がさっぱりしているのは、きっとこの酸味のせいだと思う。