| ★あまから手帖 2002/2 より抜粋 |
麺、具、スープ。すべてのバランスが秀逸。医食同源の極地を見たって感じですかね(笑)
昨年7月に開店以来、麺好きの間で密かな話題となっているこの店。ご主人の尹東福は、横浜生まれの横浜育ち。陳建民さんの『四川飯店』へ修業に入り、四川料理一筋に38年間腕を磨いた、陳さんの愛弟子。「スープは濃くもなく薄くもなく。麺は太さもゆがき加減も適度。具もスタンダード。でも一度食べたら忘れられない味」と岡本さん。味わってみたところ、具はカシューナッツに豚ミンチ、白ネギにキヌサヤと特別に変わった様子はない。だがスープは、いわゆるタンタン麺の辛さとは明らかに異なる。ペースト状にしたすりゴマを、冬は大豆油、夏はサラダ油でのばす。これを、鶏7に豚3の割合でとった濁りのないスープと麺だれで割る。ここに一味から作ったくせのないラー油と一匙の柑橘系の酢(詳しくは秘密)を加える。ひと口目はゴマのふくよかな香りの中に、爽やかな酸っぱさが広がり、ふた口目でじんわりと喉の奥に辛さを感じる上品な味わい。酸味と辛みがうまく麺に絡まり、最後までスープを飲み干せる。「特別な食材は何も使ってないんです」と尹さんは言うが、辛みが麺の味をかき消してしまうタンタン麺が多い中で、優しい酸味と辛み、そして麺の味が記憶に残る逸品だ。
カシューナッツ:生で仕入れたものをカラリと揚げて砕く。香ばしいナッツが、スープに甘みと歯ごたえの楽しさをプラスする。「産地にはこだわらない」が尹さん流こだわり。
麺:四川飯店時代からのレシピをアレンジして、製麺所に発注する特製麺。小麦粉と卵だけの自然な味。
豚ミンチ:八丁味噌をベースにショウガ、醤油、甜麺醤を加えた自家製の合わせ味噌で味付けする。これも調理法にはこだわるが、素材にはこだわりなし。 |
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